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眠れる慈悲 21 世紀の仏教を考える 僕たちの視線、私たちの視界

眠れる慈悲

21 世紀の仏教を考える 僕たちの視線、私たちの視界

会期: 2018年1月11日~ 4月8日

主催: 大正大学

特別協力:蓮華王院三十三間堂、六波羅蜜寺、NPO 東京画

後援:豊島区

撮影:公文 健太郎

D'où venons-nous?
Que sommes-nous?
Où allons-nous?
われわれはどこから来たのか?
われわれは何者か?
われわれはどこへゆくのか?
Paul Gauguin(1848-1903)
| Curator Statement |
東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、世界中の視線が日本に集まっています。 アニメ、ゲーム、幅広いフードカルチャー、伝統やエッジの立ったものづくり、先進的な都市文化に穏やかな田舎の暮らし、まさに“日本”を支えてきた日本人の考え方、その精神性を生み出した土壌への深い興味が世界の人々に尽きない関心を抱かせているようです。その日本人の精神に最も影響を与えた思想といえば、仏教。仏教の伝来には諸説がありますが、6世紀の半ばに仏像と経典が日本に伝わり、以来1500年以上にわたり“日本人の生き方への指針”とも言える立ち位置で私たちの暮らしの隅々に深く浸透してきました。明白な四季の変化、豊かな自然の幸に恵まれる反面、さまざまな天災にも襲われる日本において、仏教は人と人を繋ぐ“想い”を醸成し、時代の流れに寄り添い、教育や戸籍管理などの社会的機能も果たしながら、日本人特有の穏やかな国民性を育ててきたのかもしれません。近年、西洋文明が築き上げてきた哲学や理論等、多様な分野で軋みを見せる中、現役大学生の理解と分析の下、仏教の叡智のひとつ、そして大正大学の建学の4つの理念の最初に掲げる「慈悲」をテーマに、日本の宝とも言える仏像を撮影し、現代的な読み解きでの展覧会「眠れる慈悲」を企画し、学生主導で展覧会を創り上げたいと願っております。
| Project Mission |
「慈悲」とは何か仏像を通して考え、学生からの視点で、外国人を含む、仏教について今まで関心のなかった方々に「慈悲とは何か?」を感じてもらう。海外に向けて仏教を発信する活動の一環として、「慈悲」という意味を持つ“Compassion”という直訳英単語と、仏教における「慈悲」との間に横たわる大きなギャップに着目し、言語の壁を乗り越えた、 深い理解に繋がる展示空間を作り上げる。交渉や制作を行う際、“自分たちが知らない事”を包み隠さず、謙虚さと向上心を持って関係者のみなさまに教えを乞う姿勢で真摯に取り組んでいく。六波羅蜜寺所蔵の空也上人像(重要文化財)の実在したリアルな人間の魅力を写実的に表現した像と三十三間堂の千手観音立像(重要文化財)の超越した存在を視覚化した両極端仏像を起点とする。さらにその延長線上に、本学の御本尊である阿弥陀如来を撮り下ろし、「慈悲」という概念を幅広く考え、より深く、より広く「慈悲」の定義に想いを馳せる展示会となるよう最善を尽す。学生らしい斬新なアイディアとアプローチで、見学者に新鮮で魅力的だと感じてもらえる展覧会になるべく制作、広報、運営、管理の分野の仕事を分担し、最大の効果をあげる。
佐々木悠人 澤口恭平 竹内信之輔 田中優衣 田村眞梨 塚本沙貴 中尾大河 二関真里那 橋爪朝寿 濱野莉佳
大正大学 仏教学科 国際教養コース3年
| 展覧会タイトル「眠れる慈悲」について
現代社会において「慈悲」という概念が持つ“心の状態”への理解が十分になされていない状況を 「眠れる獅子」(すばらしい実力をもちながら、まだ十分に力を出し切っていない人や国)に喩え、「眠れる慈悲」というタイトルとし、「慈悲」の意味の幅広い読み解きが世界中に広がることを願って命名しました。僕たちの考える「慈悲」が意味する“心の状態”は下記の4点です。

1. あらゆる生命に対しての自他を問わない平等な気持ち

2. 相手に対する慈しみ深い愛情

3. 共に哀しみを分かち合い、哀しみを和らげる姿勢

4. 相手の罪を許す姿勢

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