『イカロス・プロジェクト -光と熱の間で』
ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの仲間達
会期: 2016年10月14日~ 12月25日
視覚表現のひとつである写真は近年、その飛躍的な発展のプロセスで さまざまな領域と連携や関連を保ち、新たな表現のステージへと突入しています。本展のタイトルは『イカロス・プロジェクト –光と熱の間で–』。 既にそれだけでギリシア神話に登場する青年、イカロスの逸話が思い浮かぶのではないでしょうか。鑞で固めた翼で大空を自由自在に飛翔する能力を得た彼は、或る日、不用意にも太陽に接近しすぎたことで、翼の鑞が溶け出し、墜落死を遂げます。「イカロスの失墜」は文明を過信したテクノロジー批判として、人間の傲慢さが自らの破滅を招くことをいさめた神話として広く知られていますが、今回の展覧会では、敢えて「イカロス・プロジェクト」というテーマの下、この問題を白紙に戻して科学的に検証したいと考えました。
私たちにとって、写真とは“光と影の芸術表現”という概念が浸透しています。本展ではこの既成概念から写真表現を解き放ち、写真が伝える様々な情報をどのように読み取るかを本質的に問いかける、作品鑑賞者の“視る力”が問われる挑戦的な展覧会となっています。それは液体なのか、それとも固体なのか?触ると冷たいのか、それとも暖かいのか?単に詩的表現に過ぎないのか、それとも科学的な立証に基づく結果なのか?
写真を視るという行為がどれほど世界を把握する上で多くの思考を可能にし、その深化を促すのかを、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの写真部門の教官であり、第一線のアーティストとして活躍するルット・ブレス・ルクセンブーグ女史のナビゲーションで体験していただきます。
| ロイヤル・カレッジ・オブ・アート Royal College of Art
イタリアのドムスアカデミー、アメリカのクランブルック・アカデミー・オブ・アートと並ぶ世界三大デザイン&アートの大学院大学のひとつ。1937年創立の大学院大学で、1967年には英国王室憲章を受け、独立した大学としての地位を持ち、自ら博士号(Ph.D)を授与する数少ない大学。1920年代はイギリス彫刻の誕生に、1960年代はポップアートの発展に大きく寄与した。21世紀に入ってからは、グローバルな舞台で活躍できる次世代のアーティスト、デザイナーを育てる国境を超えたイノヴェーションプログラムにも積極的に取り組んでいる。
| 歴代の卒業生
ヘンリー・ムーア(彫刻家)|バーバラ・ヘップワース(彫刻家)|リドリー・スコット(映画監督)|ジェームス・ダイソン(ダイソン社創業者)|デイヴィッド・ホックニー(画家)|和田智(カーデザイナー)|クリストファー・ベイリー(バーバリー社CEO/CD)
| 歴代の教授陣
フランシス・ベーコン(画家)|リチャード・ハミルトン(画家)|ポーリーン・デニア(ポール・スミス夫人)