Fukushima Fragments -福島のかけら-
岡原功祐 Kosuke OKAHARA
会期: 2016年4月1日~ 6月25日
2011年3月11日、あれから福島に流れた5年余りの時間、その土地に「留まりつづける時間」に自らの身を継続的に置いた写真家がいます。岡原功祐、36歳男性、日本国籍、既婚、パリ在住。震災直後、初めて福島の地に入る時、彼は「怖い」とその本音を語りました。目に見えない放射能の恐怖が待ち受けるエリアへの立ち入りはコソボ紛争に始まり、幾多の戦場や争乱、南米のマフィアの闘いに身を投じてきた岡原にとっても、いまだかつて経験したことのない未踏の領域の不安として彼の前に立ちはだかっていることが見てとれました。2015年秋、岡原が継続して撮影してきた「Fukushima Fragments」がフランスの出版社、Edition de La Martinièreから出版されました。“撮影の際には、一瞬で消えるような状況や風景ではなくあえてその場にある、一定時間残る景色に集中した。”震災の記憶が次第に風化して行く中、もう一度、真実に改めて対峙する必要があります。現代社会が生み出す様々な人災、その最たるもののひとつとして原子力発電所の事故があげられます。パンドラの箱が開けられた時に起こった出来事、「Fukushima Fragments」が伝えるメッセージを謙虚に読み取りたいと思います。